研究室概要
はじめに
計算化学研究室(後藤研究室)では,生体・医薬関連分子や機能性材料の設計,これらに関連する化学現象の解明に向けて,計算科学や情報科学の技術を駆使した次世代分子シミュレーション技術について研究しています.
当研究室の研究テーマは,SARS-COV-2,インフルエンザ,癌,HIV,アルツハイマー病などの病気に対する医薬品設計だけでなく燃料電池や機能性高分子フィルムなどのモノづくりとも密に連携しています.
また近年では,植物工場を題材として農業に関する現象を情報技術で解明,予測することも取り組んでいます.
たとえば,植物工場における工場野菜の成長予測や,気象情報に基づく野菜市場の卸売価格予測が挙げられます.
このように後藤研究室では,幅広い分野で日常生活にも関係する科学技術について研究しています.
主な研究課題
現在研究を進めている主なテーマは以下の通りです.
- ペプチド医薬を対象としたドッキングシミュレーションプログラムの開発
- 機械学習を用いた化合物のエネルギー・物性・生理活性予測システムの開発
- 植物工場における工場野菜の収穫量予測手法の開発
- 気象情報に基づく野菜市場の卸売価格予報システムの開発
- 結晶多形スクリーニング技術の開発
- 拡張現実(AR)技術を使った分子解析システムとタンパク質百科事典の開発
- マルチコア並列処理技術やWebICT技術を駆使した分子計算アプリの開発
- スマートフォンを活用した分子情報可視化アプリケーションの開発
AR Molecule Viewerによるタンパク質百科事典
(サイエンスアゴラ2011)
ブラインド・ドッキング技術の開発.タンパク質質の周囲に探索点を設置する過程を示しており,この探索点にペプチドのアミノ酸残基を配置しタンパク質-ペプチド相互作用を評価する.
最近の学会発表
- 立花尚登(D3):"Conformational Search with Implicit Solvation Model for Prediction of Ligand-Bound Conformations",The 10th International Conference on Advanced Informatics: Concepts, Theory and Applications (ICATCTA 2023),Indonesia, 2023.
- 山本妙(M2):「ペプチド-タンパク質ドッキングのための評価スコア法の開発 」,日本コンピュータ化学会2023年春季年会,東京, 2023.
- 多田桃大(B4):「機械学習を用いた工場野菜の収穫量予測モデルの開発」,情報処理学会 第85回全国大会 ,東京, 2023.
B4向け年間予定
- 4月~7月
化学・生命科学に関する基礎学習(輪読)
機械学習やプログラミング技術の習得 - 8月~9月
卒業研究テーマに関する背景調査
調査成果発表会(夏合宿) - 10月~12月:卒業研究
- 1月~2月:実務訓練
- 3月以降:学会で研究成果発表
研究室配属前の学生さんへ
- 本研究室では情報以外の幅広い科学知識の修得が必要であるため,卒業後は総合的な科学知識が身につきます.
- 学内外の研究室や民間企業との共同研究が多く,自立した研究者および技術者を目指す学生には共同研究を含めた挑戦的な研究テーマを提示します.
- スーパーコンピュータや並列分散処理技術による高速計算に興味のある学生は大歓迎です.